「page2012」でお話を伺った「印刷ディレクター・野口尚子さん @kami_labo 」が気になる。
火曜/金曜担当の@cremaです。
最近私は、あえてWeb以外の分野に数多く触れようとしていますので、そのことについて少し書いてみます。
2010年の11月から2011年末まで様々な要因が重なり、芸術的文化的なものに触れる時間がほとんどなかった私。映画にも展覧会にも、書店やインテリアショップにも行けず、読書もできずDVDも見ることができず、ただただひたすら目の前の仕事をこなしていました。
私が26歳の時の上司(アートディレクター)には、「デザイナーは仕事場に籠ってばっかりいてはダメだ!街に出て、ウィンドウショッピングをしたり、本屋を覗いたり、インスピレーションが湧くようにインプットしてきなさい!」とよく言われていましたし、自分自身がアートやデザインを好きなこともあって、いつもふらふらあちこちを覗いていたのに......。
1年2ヶ月そんな生活をしたところすっかり心のスポンジが干涸びてしまい、2011年末に「来年からは生活を変える!」と決意した訳なのです。
そこで、1月後半2月前半にかけては、こんなモノを見に行ってきました。
- ベン・シャーン展@神奈川県立近代美術館 葉山
- 紙上の技法学 筑波大学所蔵石井コレクション@武蔵野市立吉祥寺美術館
- page2012@サンシャインシティコンベンションセンターTOKYO
- 劇団四季「Cats」@キヤノン・キャッツ・シアター
- アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue展@21_21 DESIGN SIGHT
大体週に1回は何かを見に行くことができている、なかなか良いペースです。これ以外にもCSS Niteなどの勉強会にも顔を出していますので、少しづつ心のスポンジに給水されてきた気がしております。良いアウトプットを出していくためにも、このペースをきちんと保っていかねば!
さて、ここからが本題です。
上記でご紹介した「page2012」というのは、印刷・DTP業界の大規模な展示会です。組版や印刷に関連する製品にとどまらず、電子書籍やARなどの領域も扱っているご様子。Web業界の皆さんの間ではほとんど話題になっていませんでしたが、たまたま以下のお三方のセミナーが「page2012」内で開催されることを知り、訪れてみました。
10倍ラクするIllustrator仕事術(テキスト編)
鷹野 雅弘 氏(株式会社スイッチ/DTP Transit)徹底解説! 電子書籍デザイナーのための
Dreamweaverを使ったEPUB3.0 マガジンレイアウトの実践
境 祐司 氏(インストラクショナルデザイナー/イーブック・ストラテジー主宰)PRINT GEEK!! 印刷を遊ぶ、実験するための発想法
野口 尚子 氏(印刷の余白Lab.)
鷹野さんは、私が度々話題にしているCSS Nite主宰のお方。Illustrator使いには「目からウロコが落ちまくる!」と評判の「『10倍ラクするIllustrator仕事術〜ベテランほど知らずに損してる効率化の新常識』」関連のセッションでした(この本、ステマではなくほんとに有益な内容なので、ぜひチェックしてみるといいですよ)。
境先生は、linkerのポッドキャスト「こんぶだしmeeting」にもご出演いただいたことのある「教育デザイナー」の大御所です。いまとても力を入れていらっしゃる電子書籍の中でも「電子雑誌」をどのように作成し、ビジネスに結びつけるかというセッションでした。
で、最後の野口尚子さんが、私の本日のイチオシ!なのです。
野口さんは、「印刷のディレクション」というあまり耳に馴染みのない?職業をなさっている女性。特殊な印刷技法に精通していて、紙とインクを魔法のように使いこなした作品を生み出している人です。
「印刷の余白Lab.」という個人事務所をなさっており、「@kami_labo」というIDでTwitter上で情報発信したり、「印刷・加工DIYブック」という書籍などを執筆されたりしています。
Web上でも、彼女のご活躍がいくつか読めますので、挙げておきますね。
どうでしょう。これだけでちょっと「どんな人なんだろう?」と思ったりしてきました?
実は、野口さんとは、数年前に都内某所のクラブ(女性が席につかない方の)で夜遊び中にお知り合いになったのでした。そのときにシックで凝った名刺をいただき「印刷のディレクションをやっています」と自己紹介くださったのですが、そのときはそのままになってしまい......(ごめんなさい><)。
ここ2年間ぐらいはTwitterとFacebookで活躍をお見かけするなぁといった、うっすらとしたつながりだったのです。そのうち川田十夢さんの書籍の装丁を手がけられたり、なんだかお知り合いのお知り合いでつながっていく感覚はあったのですけれど、お声をかけるのもおこがましく。
そうしたところ、たまたま「page2012」で鷹野さんのセミナーを見に行こうと計画していましたら、2コマ後に彼女のセミナーを発見。境先生のお話も含め、「3人揃われたので、これは行かねば!」となった訳です。
「page2012」のセミナーの様子はTwitterで実況し、Togetterにて「page2012無料セミナー(2012年2月9日分)聴講メモ」として、まとめておきましたので、よかったら読んでみてください。
野口さんは、いままでに取り組んだ実験的な印刷の事例を美麗な写真入りのスライドで紹介してくださり、「シール印刷機」を普通の使い方と違う方法で遊んでみたり、アルミ蒸着転写紙などの金属質な紙にマットな質感を刻印してみたり、網点の限界に挑戦してみたり、常識を軽々と超えた楽しい制作現場の様子を披露していらっしゃいました。
私は、Webデザイナーになる前に2年ほどDTPデザイナーの経験があるのですが、実は転職する際に「Webデザイナーを目指すか、パッケージデザイナーを目指すか」で迷ったことがあります。様々な表情のある紙を選択し、特殊な印刷や加工を駆使して商品を魅力的に見せるパッケージを作ることに、相当惹かれていたのです。
その果たせなかった「面白い印刷をして、手で触れるものを作りたい!」という欲求を素晴らしく実現している野口さんに、すっかり心を奪われてしまいまして、さっそく「印刷・加工DIYブック」も購入してしまいましたw
「page2012」のセミナー後、直接ご本人にご挨拶したおりに「印刷のことをいまから学ぶワークショップ等の講師をお願いすることはできますか?」とお尋ねしましたら、「色々ご要望に応じてカスタマイズできますよ!」との心強いお返事が!
もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、みんなでお金を出し合って、野口さんに講師をお願いしたいなぁと、(かなり現実的な)妄想をしているところです。
まずは、自分の名刺やステイショナリーを、自分で素敵な印刷物として仕上げるところから、やってみようかと思っています。わくわく。