東京都現代美術館で開催中の「ゼロ年代のベルリン ―わたしたちに許された特別な場所の現在(いま)」展に行ってきた。
こんにちは、taku-workです。
展示図録に収録されている解説や作品批評などのテキストが面白いと最近思うようになりました。
というわけで、今回は東京都現代美術館で開催中の「ゼロ年代のベルリン ―わたしたちに許された特別な場所の現在」展のおはなし。ベルリンのアートシーンの現在を知ることのできる展示となっています。
東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/128/
気になった作品はフジ・リユナイテッドの「再開のための予行練習」でした。
現実と虚構の関係を再考するような作品です。
フジ・リユナイテッドの「再開のための予行練習」では、インスタレーションとしてテーブルの上に砕かれたティーセットが置かれた舞台セットが展示されています。テーブルの周りに親子らしき人物の写真なども展示され、なにやら劇の一部のようです。
さらにその舞台セットのバックヤードでは映像作品が流れています。
映像には作家が用意したドラマのリハーサルの様子が映し出されます。ドラマのあらすじはイギリスにいる作家が日本にいる父に会いに行き、一緒にティーセットを作陶するというもの。作られるティーセットはイギリスの著名な陶芸家バーナード・リーチの作品を模したものです。
しかし、このリハーサルの時点で作家とその父はすでに会っていて、作家と父親役の俳優はリハーサル時にそのティーセットでお茶を飲みながら台本を読んでいる。そしてリハーサルの最後作家と役者は用意されたバーナード・リーチの本物のティーセットをハンマーで砕きます。
インスタレーションのテーブルの上の砕かれたティーセットはこの時砕かれたものです。
といった具合に何層にも現実と虚構を入れ子にした状態の作品でした。
現実と虚構の関係が対局ではなく、溶け合っている、さらにはどちらも真実ではないという印象がとても興味深いところです。
文章ではまったくもってこの作品の不思議な感覚はお伝えできないのが残念。
本展では現実と虚構をテーマに作られた映像作品としてオマー・ファウストの「キャスティング」という作品も展示されています。こちらも面白いので是非。
展示は2012年1月9日まで。年末年始にいかがでしょうか。