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新国誠一の«具体詩»

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こんばんは!

6月もそろそろ終わりに近づき、気温の上昇に伴ってビールを飲みたくてたまらない@cremaです。

ダイエッターなので沢山飲むわけにはいきませんが、美味しいビールを一杯だけ飲みたいものですね。

さて先日、仕事の合間に久しぶりに展覧会に行ってきましたので、今日はそのお話など。

具体詩(コンクリート・ポエトリー)とは何か?

いきなりWebとは全く関係ないお話ですが、「具体詩(コンクリート・ポエトリー)」という言葉をご存知ですか?

私は知らなかったので検索してみました。

コンクリートポエトリーは、スイスの詩人オイゲン・ゴムリンガーによって提唱され、後、一九五〇年代初頭にドイツ・ブラジルでほぼ同時期に提起された形象詩である。マラルメが、詩の思惟的な視覚的表現を試みたのが一九〇〇年以前のことであるから、これより五〇年ほど先の展開である。コンクリートポエトリーは、文字の形態の視覚性を重視し、過度の視覚性から造形芸術に近い現象を見せている。

「書」の言語芸術的省察 ―言語の視覚化とその効果について―

ということで、まるで絵画のように文字を使って表現する詩のこころみらしいことが分りました。

以前、似たような(似たように感じられる)ジャンルの作品として、夢枕獏さんの「カエルの死」というものを拝見した事があるのですが、こちらでは「タイポグラフィクション」という用語(造語?)を使われているようですね。

さてさて、その具体詩(コンクリート・ポエトリー)の展覧会が、武蔵野美術大学美術資料図書館で行われていましたので、講師の仕事の帰りに寄って来たというわけです。

ラディカルな詩的実験をした新国誠一(にいくにせいいち)

新国誠一は、1977年に亡くなった日本の具体詩の第一人者とのこと。

私は、職場でこのような展覧会がなければ絶対に知らなかった気がしていますが、皆様はご存知でしたでしょうか?

その作品をブログに引用していいものかどうか迷うので、まずは以下のページをご覧ください。

はい。ご覧になりましたか?

このように、文字を「オブジェ」として扱うかのように、画面上に定着させた作品なのです。

漢字の中には、パーツごとに解体されてしまっているものもありますね。「雨」という作品では、中の点々がまるで本物の雨滴のように扱われていたりします。

フランス語や英語の作品もありましたが、漢字を使ったものの方が、より「絵」に近く見えます。やはり漢字は象形文字なのだなぁという印象を強く持ちました。

紙の空間の中のどの位置に、どのくらいの大きさで、どのような書体を使って、幾つ文字を置いていくか。それにより、これらの作品は出来上がっているのですよね。

ですから、意味を持った言葉として朗読できる作品もありますが、できない作品もあるのです。

詩人というのは、音声に重点を置くと音楽家に近くなり、視覚に重点を置くと画家(デザイナー)に近くなる、ということを聞きましたが、新国誠一は後者の最先端のようです。

その自由な文字の使い方は、タイポグラフィの勉強にもなると思いましたので、文字に興味をお持ちの方は、ぜひご覧になってみるとよろしいのではないでしょうか?

最寄り駅の鷹の台から遠いのが難点ですが、6月29日(月)まで開催されています。