linkerは「人と人」「人と情報」「人と物」をつなぐデザインユニットです。

CSS Nite LP6に見たプレゼン手法のあれこれ

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皆さま、こんばんは!

昨日、勢いでiPhone 3GSを買ってしまい、「Appの沼」にはまりそうな@cremaです。

お金の使いすぎが多少気になっても、ワクワク感には抗いがたいものですね><

さて今日は、2009年6月27日に開催された国産CMSの祭典「CSS Nite LP6」の感想を記したいと思います。

8つのCMSが参加し、制作者の選択肢が増えました!

ご存知の方も多いとは思いますが、今回このイベントに参加したのは以下の8つのCMSでした。

プレゼンターの方それぞれが、ご自分たちの製品に愛と誇りを抱いて開発(販売)なさっており、どの製品もそれぞれいいところが沢山あります。

8つものCMSが一堂に会してお話を聞ける機会はめったにありません。Web制作者の端くれとして、お客様にご提案できる選択肢が一気に増えたのは、とても素敵なことでした。

さて、製品についての興味深い感想はこのあたりに沢山上がってきていますので、私はちょっと話題をずらし、皆さんの「プレゼン」に焦点を当ててこの記事を書きたいと思います。

CSS Nite LP6は、プレゼンの見本市でもありました。

8人のプレゼンターそれぞれスタイルが全く異なるのが印象的だった、今回のCSS Nite LP6。

もう一度、参加リストを見てみましょう。

このうち、前の5つは持ち時間40分、後の3つは持ち時間5分のプレゼンタイムでした。

40分の方が5分のよりも印象的かというと、実はそうでもなかったのも面白いところでしたので、ひとつひとつ感想を書いてみますね。

SoyCMS

一番手は、羽織袴でびしっとキメた日本情報化農業研究所の古荘貴司さん。

少し緊張気味のようでしたが、お話の構成はきちんと組み立てられていた印象です。サンプルサイトにも「みんなのおまめさん」「小豆/大豆」などSoyCMSにちなむ言葉が入っていたり、プレゼントが農場でとれたお野菜だったり、自らの個性をアピールする姿勢が随所に見受けられました。

無料の製品にも関わらず「ユーザーの要望があればどんどん改良します!」というフットワークの軽さも、Web制作者にとっての信頼感につながると感じました。

WebRelease 2

8製品の中で一番高額なWebRelease 2を紹介したのは、代理店をしているメディアプローブ株式会社の渡辺泰さんです。

Keynoteをお使いになっていたのか、メタリックな印象のお洒落なスライド。

内容も「KPI」「PDCA」などのマーケティング用語が盛り込まれ、制作会社のクリエーターさん(ちょっとスチャダラパーっぽいファッション)が紹介するサイトも日産とWeb ACROSSだったりして、「すごいですねー。おしゃれですねー」と思わせたいのだなぁという印象でした、が。。。

正直プレゼンは、ほとんど心に響きませんでした。。。

理由は、このプレゼンがターゲット層を間違えていたからだと思います。

どうも、いわゆる「サイトオーナー」的な決裁権を持つ方を対象にしている印象だったのですよね。

今回集まったWeb制作者の人たちにとっては、「マーケティング用語」や「事例サイトの見栄え」はお金を払って聞きたいことではなかったのではないでしょうか?

私は、「その商品でしかできないことは何か?」「具体的にどのようにサイトを構築していくのか」などを、もっと知りたかったと思います。

WebRelease 2自体はかなり素晴らしい製品だという評判を聞いているので、チャンスがあればぜひ触ってみたいと思っております。

CMS Designer

CMS Designerを紹介したアル・デザインワークスの新出さんが、プレゼンテーション面での「crema MVP」です!

時間配分をしっかり考えた構成と、テンポがよく聴きやすい語り口。

ライブコーディングでのタイピングもとてもスムースですし、万が一ネットがつながらなかったときの予備のスライドも用意してあるなど、事前準備にしっかり時間をかけてある印象が伝わりました。

XSLTで出力結果を制御できるのが印象的でしたし、非商用個人ライセンスが用意されているので、ぜひ一度試させていただきたいと思います!

RCMS

linkerでも紹介ページ作りに参加させていただいたRCMSを紹介したのは、ディバータの加藤さんです。

製品を触らせていただいて、他の製品には無い「情報の関連付け」に着目した設計思想と機能の豊富さを素晴らしいと思っているのですが、今回のプレゼンに関しては正直、スライドの作りこみが足りない印象でした。。。

管理画面の紹介などにもストーリー性を持たせたり、情報の関連付けに解説にもう少しグラフィック要素的なものを盛り込んでも良かったかもしれないですね。

a-blog cms

私が個人的に「チームワーク賞」を差し上げたいのは、有限会社アップルップルの佐藤さん+高橋さん+やまもとかずみちさん+スライドをデザインしたデザイナーさんです。

入社数ヶ月目とは思えない舞台度胸の佐藤さんのお話しぶりは、練習の成果が感じられる素晴らしいものでしたし、そのお話の脇で素早くデモを行う高橋さんとのチームワークも良かったです。このように役割を分けることによって、話し手は操作にとらわれず話すことに集中できるのが良さそうだと感じました。

スライドの方も、4つに分かれた説明のどの段階を見ているのか分りやすいタブを下部に配し、テーマカラーの赤と白で上品に見やすくまとめられており、8つの中で一番だと思いました。

それに加え、背中にロゴマークをあしらったお揃いのTシャツを着たり、ロゴマークの金太郎飴を配ったりと、ビジュアルへの気遣いも並々ならぬものがあります。

製品は来場者の挙手によるMVPを見事受賞してらっしゃいましたし、素晴らしいですね!

bingo!CMS

ここから後は、5分プレゼンの製品です。

株式会社アイ・ティー・ディーの小林 和彦さんは、なんと製品操作の動画を倍速で再生するという前代未聞の技で、5分という短時間でのプレゼンを成功させていました。

しかも、倍速で再生するのにふさわしい見栄えのする画像挿入や入れ替えなどの場面を選んでらっしゃって、新しいバージョンでどのようなことができるのかというインパクトは絶大でした。会場からも「おぉー」という声が上がっていましたね。

さらに、来場者に限りひとつづつ商用ライセンスを配るという太っ腹なのも、とてもありがたいことでした。心から感謝して使わせていただき、またブログでもレポートしたいと思います!

Jimdo

前々からうわさに聞いていたJimdo(ジンドゥ)を紹介されたのは、KDDI Web Communicationsの方(お名前をメモするのを忘れてごめんなさい!)。

この方もプレゼン慣れしておられる印象で、お話がスムーズ。

スライドも余白をいかした見やすい画面で、ExcelやWord感覚で見たままの画面から更新できる仕組みや、今後ユーザー同士がiPhoneのAppのように機能を有償で交換できる仕組みを準備するなど、伝えたいことの主旨はとてもよく分りました。

時間が5分しかありませんでしたので、CPIレンタルサーバーの件で謝罪するのはもっと圧縮しても良かったのかも(笑)ということだけが、ちょっと気になってしまいました。

Power CMS for MT

トリは、Movable Type勢から、あのJunnamaさんことアルファサード有限会社の野田さんが。

「MTでええやん」「うちの一番の売りはサポート」という名言で、会場の心をしっかり掴んでおられました!

ほんっとに、場の空気を読んで的確な発言をなさいますよね。かっこいいです!

そのあたりの雰囲気を詳しく知りたい方は、Dakinyさんのエントリをどうぞ。

パネルディスカッション

個々の製品紹介が終わった後は、鷹野さんの司会に加え、CMSに詳しいにっくさんが参加してのパネルディスカッション。

8人が舞台上にずらっと横並びして、それぞれ与えられたお題に答えていきます。

例えば「この製品はサイトの全体に使うのが向いているか、それとも部分に使うのが向いているか」などの問いに、一人づつ答える形式です。

串刺し的に全製品の回答を聞けるのはとても興味深かったのですが、ちょっと気になる点が二つありました。

一つ目は、「回答は一言で」と求められているのに、どうしても長文で答える方が多かったこと。伝えたい気持ちが強いあまり、多弁になってしまうのは仕方が無いとは思うのですが。。。イベント全体を俯瞰して捉える視点をお持ちのバランス感覚の良い方は、短文でぴしっとお答えになっていた印象があります。

二つ目は、常に回答が一番左側の古荘さんから始まっていたこと。最初に答弁するのと後ろのほうで答弁するのでは、回答者のプレッシャーも違うでしょうから、ところどころ逆にするかランダムにしても良かったかもしれません。

全体として

一番最初に、もう一つセッション(基調講演?)があると良かったのかもしれないですね。

日本や世界でのCMSの使用状況はどうなっているのか?とか、Web制作者/サイトオーナーのお困りごとはなにか?とか、そのあたりの全体像を最初に提示していただいてから、それぞれの製品のお話を聞いてみたかった気がしています。

それにしても、今日のエントリはいつになく辛口気味だったかもしれず、生意気で申し訳ございません。。。

しかし、各製品と開発者の皆さま、そしてCSS Niteの鷹野さんには深い尊敬を抱いていることには間違いありませんので!

今後も何かとお世話になることかと思いますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます!