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練馬区立美術館で開催中の「生誕100年 船田玉樹 ―異端にして正統、孤高の画人生」展にいってきた。伝統かつ前衛な日本画です。

こんにちは、taku-workです。
屏風の数え方は、左右揃いの作りのものを「一双(右隻、左隻)」、左右がなく一つの作りのものを「一隻」、折りたたむ一枚の部分を一曲というのだそうで。六曲一双なんていうのだそうです。

ということで、今回は練馬区立美術館で開催中の「生誕100年 船田玉樹 ―異端にして正統、孤高の画人生」展のおはなし。
伝統と前衛をいったりきたり、作風が大きく変わる作家の自由な日本画が見所です。

生誕100年 船田玉樹 ―異端にして正統、孤高の画人生。―展:練馬区公式ホームページ
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/hunada2012.html

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船田玉樹(1912-1991)は元々は洋画家をめざしていたそうです。しかし上京してまもなく琳派の展示を見たことで日本画に傾倒していきます。
その後速水御舟に師事、速水御舟が亡くなった後には小林古径に師事しています。
こうして日本画家として創作活動をしていくことになります。
船田玉樹は日本画の伝統的な作品ももちろんですが、シュルレアリスムや抽象主義を取り入れた前衛的な作品にも積極的だったようです。

展示前半には速水御舟や小林古径の作品とともに初期の作品が展示されています。
上の画像の「花の夕」という作品もありました。
鮮やかな赤紫の丸によって、今にもこぼれ落ちそうな花が表現されています。

風景画を中心に作品が続くと中盤にはがらりと作風が変わって、シュルレアリスムの絵画が現れます。マックス・エルンストを彷彿とさせる暗くて重厚な作品が展示されています。
別の人が描いたのかと思うほど作風が違うので驚きました。

展示中盤では大きな屏風が展示されています。
桜や松が画面いっぱいに描かれ、目の前に広がる風景に圧倒されます。
墨で描かれた松の屏風は、自分が大きな松の内側から外を見ているような、そんな気さえしてきます。

ということで、
日本画の伝統と前衛表現をあわせたような作品が魅力的な展示です。
一人の作家が描いた伝統的な作風とアバンギャルドな作風を見比べて、どんな心情の変化が起きていたのかを想像してみるのも面白いと思います。
展示は2012年9月9日まで。