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いまさらですが、映画「Helvetica」を見ました。

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火曜/金曜担当ですが、またもや日曜日に記事公開で大反省の@cremaです。

2年前の映画についてブログに書くのなんてあまり良くないことだなとは思いつつ、とても面白かったと感じた気持ちに素直になって、記事にしてみようと思います。

フォント好きなら大概の方は既にご覧になっているであろう映画「Helvetica」ですが、うちの人がDVDを買ってきたのを機に、私は今週初めて見たのでした。

さんざん使い古された表現ですが「世界で最も愛されている書体のひとつ」であるHelvetica。この映画は、世界でも珍しい「(Helveticaという)書体を主人公に据えた映画」なのですよね。

スイスのハース鋳造所でHelveticaが誕生した経緯、当初は「Neue Haas Grotesk(ノイエ・ハース・グロテスク)」という名前だったものが、「Helvetica(ヘルベチカ)」という名前に変更になった経緯、50年代の終わりから60年代にかけてデザイナーに熱狂的に受け入れられていたのに、それ以降「体制」を意味する書体としてポストモダンなデザイナー達には反感を買ってしまう経緯......。

デザインの授業で何となく知っていた断片的な知識がひとつの映画の中で紡がれていく様子が、とてもエキサイティングなのです。

そして、タイポグラフィを扱うデザイナー達が、いかに「字と字の間=字間」を大切に考えてバランスをとっているかということ、Macintoshとデザイン関連のソフトウェアがデザイン作業の革新に大きく貢献していること(なにしろ登場するデザイナーほぼ全員の傍らにMacが映っています)、などもひしひしと伝わってきます。

個人的にツボだったのは、私が大好きな書体「Verdana」をデザインしたMatthew Carterさんが出演していたところですね。とても上品な白髪の紳士で、お父さんのHarry Carterさんも書体デザイナーの彼が、小文字の「h」「o」「p」などの直線と曲線を分析して説明してくれるシーンなどは、非常に論理的で分かりやすく、学生の時に見たかったなぁと感じました。

ストーリーがある映画ではなく、街の中でHelveticaがどのように使われているかの見本帳のような映像なので、何度見ても見飽きません。いま見直し3回目ですが、あと5回は見てしまいそうです。

書体好きで未見の方には、ぜひぜひお勧めしたい映画であります。

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おすすめ度の平均: 5.0
5 デザイナーたちの文字に対する魂
4 巨匠から書体マニアまで、本音ズバズバ語ってます
5 Helveticaの向こうに見えるモノ。
5 シびれますよ

おまけ

Helveticaのことを検索していたら、面白いブログ記事を沢山見つけましたので、リストにしておきます。

どっちがArialで、どっちがHelveticaかわかるかな? - IDEA*IDEA 〜 百式管理人のライフハックブログ
→Gをみると分かりますよ。
ArialとHelveticaの違いがはっきりと分かるこの一枚 | コリス
→クローン書体といわれていますが、結構細かい違いがありますね。
Keita USHIDA :: Helvetica & Arial
→Arial以外のHelveticaのクローン書体についても解説があります。
ヘルベチカ Helvetica 世界中に愛される定番タイポグラフィと意外な誕生秘話 | デザインブログ バードヤード
→この映画の内容を絡め、まるでタイポグラフィの授業のような素晴らしい記事です。
Helvetica(ヘルベチカ)を使った企業ロゴを集めてみました | DesignWalker
→おぉ、この企業もそうだったか!と改めて。