linkerは「人と人」「人と情報」「人と物」をつなぐデザインユニットです。

「使う人にやさしいMovableTypeを考える〜作り手が、使い手のためにすべきこと〜」参加レポート

こんばんは!火曜/金曜担当の@cremaです。
今日は、3月31日。年度でいうと大晦日(?)でしたね。 全く仕事は納まっていませんが、「年度末蕎麦」でも食べたい気分でしたw

さて、少し前の話題になってしまいますが、3月26日(木)に開催されたシックス・アパートさん+技術評論社さん+#fc0さんのイベント「使う人にやさしいMovableTypeを考える〜作り手が、使い手のためにすべきこと〜」について、少し感想を書きたいと思います。

書籍「これからはじめる MovableTypeの本」の連動イベント

#fc0(エフシーゼロ)は、Web制作者のやまもといずみさんとふじかわまゆこさんのお二人が作られた会社です。昨年末に法人化される前は、フリーランスお二人のユニットとして活動されていました。

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実は我々linker三人組は、お二人をよき「ユニットの先輩」「ロールモデル」として捉えています。そして、勉強会でご一緒することも頻繁ですし、公私ともに本当にお世話になっています。そのため、お二人の人柄はよく存じているのですが、仕事に対するポリシーをこのようなカタチで伺ったことは無かったため、非常に楽しみにしていました。

今回開催されたのは、お二人が昨年上梓された「これからはじめる MovableTypeの本」の書籍連動イベントでした。

これからはじめる MovableTypeの本 <MovableType4.2対応版> (自分で選べるパソコン到達点)

これからはじめる MovableTypeの本 <MovableType4.2対応版> (自分で選べるパソコン到達点)

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  • [大型本]
  • 価格: ¥ 2,499
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シックス・アパートの上ノ郷谷さんがモデレータとなり、お二人のお話を聞き出していくスタイルです。

お二人の話の要点

以下、私がお話を聞きながらメモをとったことを、箇条書きにしてみます。

  • お二人は、中小企業や個人商店のサイト作成に取り組むことが多い。その際、相手の方のパソコン関連のスキルがほとんど無いことがよくある。例えば「パソコンは何をお使いですか?」と尋ねて(WindowsかMacか、という返事を期待した質問)、「えーと、2年前にキムタクが宣伝してたヤツ?」というお返事が来たりする感じ。そういうお返事で、大体担当者さんのリテラシーの度合いが分かる。
  • そのため、先方の担当者さんにWebサイトを更新してもらう際には、HTMLを書くような設計にはしない。
  • CMSとしてMovable Typeを提案する場合、運用マニュアルを先方の提出する代わりに、「これからはじめる MovableTypeの本 <MovableType4.2対応版> (自分で選べるパソコン到達点)」を渡せばOKとなるような本作りを目指した。
  • 書籍執筆の際には「どこをクリックするのか?」「右上の×をクリックして、サブウィンドウを閉じます」などを明確にした。初心者の方は、Movable Typeを使った更新などの際に、動作の終わりがどこか分からなくなって混乱するケースが見受けられるため、いちいちサブウィンドウを閉じさせて動作の終わりを明確にするようにした。
  • Movable TypeでWebサイトを構築する際に、担当者の方のスキルを見極めて、場合によってはカスタムフィールドを増やし過ぎないようにしている。初心者の方は、沢山の入力フィールドに入力すること自体に慣れていなくて大変。
  • そのため、案件着手時には「お客様のスキルを知ること」「お客様がそのサイトで何をしたいのかを知ること」を非常に大切にし、ヒアリングに時間をかける。また、正式なヒアリングだけではなかなか本音がでてこないが、その後の雑談の中で非常に重要なことが語られることが多いため、雑談も重視している。
  • Web制作者がMovable Typeの導入をお客様に勧める場合、「更新が簡単ですよ」ということが多いが、それは「HTMLを書かなくてもいい」という簡単さであったりして、実は初心者の方にとっては本当に操作が簡単ではない場合がある。そのため、操作が本当に簡単であるようにする必要がある。
  • Webサイトの作成は、「お客様のやる気がベース」。「頼んでWebサイトを作らせている」という受け身の状態ではなく、「自分がサイトを作っている」という「やる気」や「愛着」を、サイト制作中に育てることが重要。「サイトができました→納品しました」というだけではやる気が生まれにくいので、サイト制作中に育てることが重要。お客様のメンタル面をケアしている。そのために、アイドルを撮影するカメラマン並みに「いいよーいいよー」という感じで、ずっとずっと褒めたりしている。そして、「Webサイトを作成するのは面白い」「更新したくなるサイト」と感じていただけるようにしている。
  • (「お客様が画像ファイル名を全角にしてしまったり、というケースがあると思うが?」という話題に関して)インターネットで何かを楽しんでもらいたいので、楽しむためにお客様のリテラシーを上げていく努力をしている。「より多くの人に情報を伝えたいですよね?そのために、ファイル名を半角英数字でつけた方がいいですよ!」ということを、理解していただけるまで繰り返し伝えていく。
  • (「そこまでコミュニケーションにコストをかけていることは、きちんと金銭として回収できるのですか?」という話題に関して)いわゆる「ディレクション費」的なものを計上するのだが、「これって、何に対するお金?」と怪しまれないクオリティのコミュニケーションをするように心がけている。

Movable Typeのお話よりもディレクションのお話が多かったかも?w

ここまで読んでいただいてお気づきのとおり、お話の内容はMovable Typeの技術的なことというよりは、「ディレクション」「コミュニケーション」「プロジェクトマネージメント」「教育」といった方面に広がったような気がします。

これが本当に為になる言葉ばかりで、実は帰り道に、かなり凹んでしまいました。。。

「あー!私って、本当に出来てない><」と。

特に心にどすんと来たのは、「サイト制作中にお客様の『やる気』を育てることが重要。その為に、お客様のメンタル面をケアしている。」という部分ですね。

今まで自分が一生懸命頑張ってきたのは、主に技術的な部分が多かったのですよね(それも、まだまだ未熟ではありますが)。

正直に言って「お客様のメンタル面のケア」というのは、そこまで深く考えたことはありませんでした。もちろん、良いものを作ってお客様に喜んでいただけるように努力はしているつもりでしたが、「プロジェクトを成功させるため」「本当に伝えるべきことを伝えるため」に、そこまで深く「お客様(Webサイトの担当者さん)の心」のことを考えたことはなかったのです。

仕事というのは、「人と人が関わり合って育てていくもの」「人間らしく心を使うべきもの」という、とても大切なことを教えていただいた気がします。

やまもとさん、ふじかわさん、本当にありがとうございました!

やまもとさんが、この件に関する記事を書かれているので、よろしければそちらもぜひ。

【追記】
そういえば、前々からお会いしたいと願っていた「かたつむりくん」に、このイベントでお会いできたのでした!わーい!

かたつむりくんも、このイベントの素敵なレポートを書いておられます。