国立新美術館で開催中の「大エルミタージュ美術館展」に行ってきた。
こんにちは、taku-workです。
大きな美術館の展示は展示自体のデザインも結構おもしろいですね。
ということで、今回は国立新美術館で開催中の「大エルミタージュ美術館展」のおはなし。
ロシアのエルミタージュ美術館所蔵の作品が展示されています。マティスの《赤い部屋(赤のハーモニー)》を鑑賞できる絶好の機会です。
大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年
http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/
展示は年代別の5章構成となっています。
第1章:16世紀=人間の世紀(ルネサンス)
展示にはヴェネチア派と呼ばれる画家たち作品が展示されています。色彩にあふれた風景や肖像画が魅力的です。
ロレンツォ・ロットの「エジプト非難途上の休息と聖ユスティナ」やバルトロメオ・スケドーニの「聖家族と洗礼者ヨハネ」など色彩と光の表現が豊かな作品を見ることができます。
第2章:17世紀=黄金の世紀(バロック)
ルネサンスと比べて劇的でダイナミックな印象を与えるバロック様式の絵画が数多く展示されています。
ペーテル・パウル・ルーベンスの「ローマの慈愛(キモンとペロ)」やレンブラント・ファン・レインの「老婦人の肖像」など対象の感情がにじみ出ているような作品やウィレム・クラースゾーン・ヘダの「蟹のある食卓」のような質感豊かな静物画などが展示されています。
第3章:18世紀=革命の世紀(ロココ・新古典派)
繊細で優美な印象のロココ派の絵画と厳格な印象の新古典派。様式の変化に時代の流れを感じます。
フランソワ・ブーシェの「クピド」、ピエール=ナルシス・ゲランの「モルフェウスとイリス」などに見る繊細な肌の質感、ライト・オブ・ダービーの「外から見た鍛冶屋の光景」のような文明側の光と自然側の暗闇の対比など、見所満載です。
第4章:19世紀=進化する世紀(ロマン派・写実派・印象派・ポスト印象派・新印象派)
ロマン派のドラクロアやサロンから抜け出た印象派など、このころから新しい表現が多く見られます。
ウジューヌ・ドラクロアの「馬に鞍をおくアラブ人」の力強いタッチや、クロード・モネの「霧のウォータールー橋」の淡い印象、モーリス・ドニの「母と子」のような平坦な表現など、この時代の表現の多様性を追うことができます。
第5章:20世紀=アヴァンギャルドの世紀(フォービズム ・キュビズム)
フォービズムとキュビズムという大きな流れのうちフォービズムの代表であるマティスを中心とした作品を見ることができます。
アンリ・マティスの「《赤い部屋(赤のハーモニー)》」やアンドレ・ドランの「港」ような自由さを感じるフォービズムの作品やパブロ・ピカソの「マンドリンを弾く女」やアメデ・オザンファンの「食器のある静物」のようなキュビズムの始まりを見ることができます。
ということで、
およそ400年にわたる美術の大きな流れを感じることのできる展示です。
作品の年代をくらべてみて、時間の流れの中にある社会の変化や、それにともなう文化の遷移などを感じてみるのもおもしろいものですね。作品をみると世界のとらえ方が変わっていった様子がうっすらとわかります。
時代の印象と章ごとの壁の色が合わせられているようで、それもよかったです。
展示は2012年7月16日まで。お時間がある方はぜひ。