パナソニック電工汐留ミュージアムで開催中の「今 和次郎 採集講義」展に行ってきた。調査スケッチがすてき。
こんにちは、taku-workです。
今和次郎は「いまわ・じろう」ではなく「こん・わじろう」です。あしからず。
あやうく赤っ恥をかくところでした。
ということで、
今回はパナソニック電工汐留ミュージアムで開催中の「今 和次郎 採集講義」展のおはなし。
今 和次郎の民家研究、考現学にまつわる資料、スケッチや建築などを見ることができます。
調査スケッチはイラストとしてみても面白くておすすめです。
今 和次郎 採集講義 展
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/12/120114/index.html
展示は4つのセクションで構成されています。
- 農村調査・民家研究の仕事
- 関東大震災 ー都市の崩壊と再生、そして考現学の誕生
- 建築家、デザイナーとしての活動
- 教育普及活動とドローイングのめざしたもの
そんな中、興味深かったセクションをご紹介。
農村調査・民家研究の仕事
会場には農村の様子や家の間取りなど、細かなところまで観察されたスケッチや間取り図が並びます。丁寧に観察されたスケッチからは生活の音が聞こえてきそうです。
今 和次郎は東京美術学校の図按科を卒業したのち早稲田大学理工科建築学科助手となります。
そして、当時の教授であった佐藤功一を介して「白茅会」に参加します。
「白茅会」は柳田国男と佐藤功一を中心に結成された農村研究のための組織でした。
ここで今 和次郎は農村や農家、そこに住む人々の様子や道具などを調査・記録していきます。
関東大震災 ー都市の崩壊と再生、そして考現学の誕生
1923年に発生した関東大震災によって今和次郎の眼は地方から都市へと向きます。
会場には被災した人々が生活するバラック住居のスケッチが展示されています。
さまざまな素材で建てられたバラック小屋が冷静な眼で捉えられたスケッチです。
またこのころ、今和次郎は仲間たちとバラック装飾社なるものを始めます。
バラック建築の店舗などに装飾を施すことによって、バラックを美しくする一切を引き受ける会社でした。
震災後、復興によって新しい生活を立てなおそうとする人々を見る中で今和次郎は「考現学」という方法論を打ち出します。
人々の日々の生活とその変化を記録することを通してこれからの生活のあり方を考えるというものでした。
東京銀座風俗記録という考現学調査の記録も展示されています。
「ひげの形と割合」や「通行人分布」「着物の柄」などがユーモラスにまとめられています。
このあたりは赤瀬川原平の路上観察学会や、なかむらるみ著「おじさん図鑑」にも通じるものを感じます。イラスト的には寄藤文平あたりを思い出しました。
このセクションはスケッチが個人的にも一番興味深いところでした。
ということで
これらのセクションの後には建築に関して、教育・ドローイングに関してとセクションは続きます。続きは会場で。
今回の展示は絵画や彫刻、工芸とはまたひと味違う面白さが待っています。
ちなみに僕はこういった学術研究的なアプローチの一風変わったものが大好物だということがわかりました。
もう一つちなみに、展示図録の「今和次郎 採集講義」のブックデザインは菊池敦己さん。こちらも大好物。