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葉山でベン・シャーン展を見てきた(2012年1月29日まで)

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火曜/金曜担当の@cremaです。

ちょっと担当曜日がずれてしまって恐縮ですが、明日(2012年1月29日)まで神奈川県立近代美術館 葉山で開催されている「ベン・シャーン展」についてレポートします。

結論から先に書くと、「関東近郊の人は、明日お時間あったら見に行くといいですよ!」ということなのですが。

前々から「海の前のベストロケーションな美術館」として私の憧れだった神奈川県立近代美術館 葉山なのですが、仕事が忙しくなかなか時間をとることができませんでした。

しかし今回は、日本のグラフィックデザインにも多大な影響を与えたアーティスト「ベン・シャーン」の大規模展示を見たい!いうことで、行きはJR帰りは京急を使い、ばびゅんと弾丸のように往復してきたわけなのです。

JR逗子駅からタクシーで到着した葉山館は、こんな感じの静謐な印象の建物。

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中庭に面してエントランス、ビデオ視聴室やミュージアムショップなどが配された、コンパクトな作りです。

ベン・シャーン展のチケットは1,100円。到着したのが15:30、閉館が17:00でしたので、入館時に「作品展数が多いので時間にお気をつけください」とアナウンスされました。最低でも2時間みておいた方が、ゆっくり鑑賞できるかと思います。

ここに作品の写真を掲載することは当然できないので残念ですが......。

墨を使って描かれたドローイング独特のごつごつした引っかかりのある線、が彼の特徴と勝手に思い込んでいましたが、展覧会の副題に「クロスメディア・アーティスト」とついているように、とにかく表現手段が多彩です。

グワッシュ、水彩、墨、リトグラフ、セリグラフ、コラージュ、テンペラなどなど考えうる限りの画材を使いこなしていますし、イメージソースとなる写真も多数自前で撮影。ニューヨークだけでなく南部の農業地域で撮影された印象的な人々のポートレイトは、生活感をありありと映し出していて、社会と密接に結びついた作品がここから生まれてきたことがよく分かります。

とても印象的だったのは、レタリングを駆使したポスター作品の数々。

もともと力強いグラフィックに加えてスクエアな印象の書体でキャッチコピーが入り、街中でさぞ目をひいただろうと思われる引力のあるポスターになっていました。解説によると石版画の工房での修業時代にレタリングを自分のものにしたということなのですが、改めて文字の持つ美しさと力強さを味わうことができます。

そして自らのルーツであるユダヤの文字=ヘブライ文字をデザインした作品も、言葉の持つ意味は直接分からないものの、聖書の厳かな迫力が伝わってくる張りのある造形でした。

帰りにはきっちりカタログも買ってきましたので、再度自宅で味わい直したいと思います。

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一番遅い時間帯に出かけて良かったことは、鑑賞終了と同時に日没に遭遇したこと。海に面した美術館の中庭からこんな夕日を見ることができ、もうひとつ得をした気分です。

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この展覧会は、このあと名古屋市美術館(2012年2月11日〜2012年3月25日)、岡山県立美術館(2012年4月8日〜2012年5月20日)、福島県立美術館(2012年6月3日〜2012年7月16日)にも巡回するので、各地域の方はそちらでぜひご覧になると良いかと思います。