東京国立近代美術館で開催中「イケムラレイコ うつりゆくもの」展にいってきた。
こんにちは、taku-workです。
美術館のチケット売り場でおじいさんにどの展示がいいかと聞かれました。
答えにものすごく困りました。全部現代アートだったから。
そんなわけで、今回は東京国立近代美術館で開催中「イケムラレイコ うつりゆくもの」展のおはなし。
あまり期待せずに見にいったのですが、思いのほか打ちのめされる結果に。やっぱりすごかった。
イケムラレイコ うつりゆくもの
http://www.momat.go.jp/Honkan/Leiko_Ikemura.htmlイケムラレイコ Side B
http://www.momat.go.jp/Honkan/Leiko_Ikemura/sideb/TAB イベント - イケムラレイコ 「うつりゆくもの」
http://www.tokyoartbeat.com/event/2011/51D5
正直なところ、僕はこの作家さんのことをこの展示を見るまで知りませんでした。
しかも見ようと思ったきっかけも、天気もいいし、なにか展示みたいなぁ、でもこれっていうのが見当たらないなぁ。と、TABをぱらぱら見ていてなんとなくサムネイルが目に止まったからくらいなものでした。
そんな感じでなんとなく見にいったわけですが、このニュートラルな状態が功を奏したのか、ガツンとやられました。
展示は15の小さな部屋にテーマごとに区分けされています。
絵画、彫刻、ドローイングともりだくさんです。
特徴的なモチーフとして伏せた少女の作品が多く見られます。
重くて暗いようで、でも軽いような不思議な空気を纏った作品の第一印象は「こわい」 でした。
でもなにがこわいのかよくわからない。
よくわからないけれど、今いる現実ではないところに入ってしまったような、なにやら哀しさとか取り返しのつかなさみたいなものを含めた「こわい」を感じました。
絵画ではブラックペインティングと題されたシリーズが印象的でした。
黒い背景に光の水平線、その上に伏せた少女が描かれています。
他にはなにも描きこまれずに空間と光と伏せた少女だけです。
キャンバスは網目が見えるほど荒く軽い素材のもので、重苦しさが消えていて、それが逆に描かれたものを際立たせているようでした。
彫刻作品では陶器の釉薬のような質感の伏せた少女の像が印象的です。
幽霊とかそういったたぐいの悲しげな雰囲気を感じました。
他にも赤い線で描かれた樹のドローイングや陶器のような胸像なども世界の間にいるモノたちを見るような感じがして「こわい」です。
展示会場で販売している展示図録の中にイケムラレイコへのロングインタビューが掲載されています。
作品の背景を知る手がかりとして、作家の思考の一端をのぞく手がかりとしてとても興味深いものとなっています。
インタビューのほかにも「なぜ彼女たちは匍匐するのか? 『古事記』とエコロジーを手がかりに」というテキストがあります。
こちらではうつ伏せ(匍匐)への考察が面白いです。
作品を見て「こわい」と感じたのがなぜなのかすこしわかった気がします。
展示とあわせていかがでしょうか。
ということで、
今回はあまり普段好んで見ることのないタイプの作品展を見にいったのですが、やはりすごいものはすごいですね。
食わず嫌いしてないでどんどん見にいくべきだと改めて思いました。
全然知らなかったものの見方に触れて衝撃を受けると、美術館を出たときの景色がいままでと違って見えることがあります。
今回はそんな展示でした。
展示は2011年10月23日まで。天気のいい日に是非どうぞ。