仕事を切り分けた際の『中間領域』の扱い方
火曜/金曜担当の@cremaです。
今日は、分かっている方には「なにをいまさら」という話題になってしまいますが、恐れ入ります。
話をものすごく単純化してしまいますが、誰かと共同で仕事をする場合、誰が何を担当するかをあらかじめ決める場合がほとんどですよね。
たとえば、Webサイトを作る場合(A)。
- Aさんは、ディレクション。
- Bさんは、UI設計とビジュアルデザイン。
- Cさんは、コーディングとCMSカスタマイズ。
とか。
たとえば、書籍を書く場合(B)。
- Aさんは、1章から3章まで。
- Bさんは、4章から6章まで。
とか。
そんなとき、誰が担当するかきっちり決まっていない『中間領域』というかグレーゾーンが発生してしまうことはありませんか?
上記Aの場合であれば、「サーバのセットアップは誰がやるの?」「全ブラウザでの検証は誰がやるの?」とか。
Bの場合であれば、「『まえがき』と『コラム』は誰が書くの?」とか。
仕事の経験が豊かで優秀であればあるほど、発生するであろう『中間領域』を事前にリストアップして、工数として計上することができることでしょう。行く手に待ち受けている落とし穴を、あらかじめきっちり埋めていけるタイプの方です。
ただ、新しい形態の仕事をする場合や、その分野の仕事に不慣れな場合等、どうしたって事前に『中間領域』を完全把握することが難しいこともあると思うのです。
事前に把握できていなかった『中間領域』の存在が発覚した場合、プロジェクトメンバーにどういう行動の選択肢があるでしょうか。
- 『中間領域』は自分の担当ではないので、絶対に引き受けず、余計なリスクは負わない。
- 『中間領域』をみんなでシェアするように提案する。もしくは、今回は私がやるので、次回はお願いね、的なバランスをとる。
- 『中間領域』を引き受ける代わりに、金銭的対価をきっちりいただく。
- 『中間領域』を引き受けてくれる別のメンバーを探し、その分の費用を何らかの形で捻出する(追加請求するとか、あらかじめ取り分けたバッファから出すとか)。
- チームメンバーの雰囲気を見出さないために、進んで自分が『中間領域』を引き受けて、時間的に苦しむ。
ケースバイケースだと思いますし、どれが正解という訳でもないのですが。
私は以前とあるクライアントさんから「黒野さんは、請求金額以上にプロジェクトに気を配って、足りないところを一生懸命やってくれるのが素晴らしいですね」という趣旨で褒められたことがあるのですが、これは決して褒められたことではないと思うのです。なぜならば、『中間領域』を事前に察知できず、自分の時間を犠牲にすることで単純に解決しただけだからです。
そこそこ経験のある人は、考えうるすべての『中間領域』を先に把握していて、その分の工数を計上できているべきなのですよね。もしくは、可能性に備えてバッファを必ず見ておく。自分と仕事相手両方の幸せのために。
もう一点、「今回は自分がやってあげたから、あとでお返ししてくれるだろう」という期待は持ってはいけないと、私は思っています。相手が自分と同じ感性で「お互いさま」と思ってくれる保証はどこにもありません(ただし、自分は自分のポリシーとして「後で恩返しをする」精神は忘れないでいようと思っています)。
ということで、私を含む全人類が『中間領域』に悩まされず、健やかな日々を送れますように。