武雄市公式サイトのFacebook移転について、考え中。
火曜/金曜担当の@cremaです。
本日知った衝撃的なニュースについて、ちょっと考えてみたいと思います。まずは引用から。
佐賀県武雄市は、8月1日に市のホームページを閉鎖してFacebookページに完全移行する。移行作業を担当するアラタナとSIIISが7月29日に発表した。
データはサーバに残し、Facebookページ内に外部からのリンクとして表示する。「くらしの便利帳」や市政情報などの現行コンテンツは、掲載期限切れコンテンツなどを除いてほぼ全てFacebookページ上で見られるようにするという。現行サイトのトップページには、Facebookページへの誘導画面を表示する予定だ。
武雄市のつながる部秘書広報課広報広聴係フェイスブック係の宮口直之氏によると、「現行のホームページでは、どのコンテンツがどれだけ見られているかを職員全体で共有することが難しかった」という。Facebookページへの移行後は、情報をリアルタイムに発信するとともに「いいね!」ボタンやコメントを活用し、市民の声を取り入れたWebサイト運営を目指す。
うわー! 人口50000人強の小さめな市とはいえ、れっきとした地方自治体である「武雄市」のサイトを、Facebookページに完全移行とは。ものすごいフットワークの軽さですね。突き抜けてます。
計画を手がけるのは、日本フェイスブック学会会長もお務めの武雄市長・樋渡啓祐さんと、「宮崎に1000人の雇用をつくる」という素晴らしいコンセプトを持った株式会社アラタナさん(社長は濱渦伸次さん)。この方々のサイトやTwitterを見ていると、活気とエネルギーにあふれた印象が強く、面白くて新しいことをやってくれそうなワクワク感があります。
とはいえ、公的団体の公式Webサイトが、一私企業のシステム配下に設置されることにちょっと違和感がある、オールドタイプなワタクシ。というわけで、メリットとデメリットを軽く考えてみました。いい話をあとに書いたほうが読後に希望が湧く気がするので、デメリットのほうを先に挙げますね。
地方自治体のWebサイトをFacebookページにすることのデメリット(私見)
- ページの基本的なレイアウトや仕様は自らの考えに基づいて変更できない。
- 非常に大量の情報へのナビゲーションを、見やすく使いやすくレイアウトする作業が難しいのでは?
- Facebook側の都合で仕様がコロコロ変わる可能性がある。
- 職員や運用担当者のアカウントが凍結される可能性が無いとはいえない。
- メッセージを活発にやり取りした場合、スパム扱いで機能が凍結される可能性が無いとはいえない。
- Facebookの実装は、アクセシビリティに問題があるのでは?
- 「いいね!」をした人は、概ね武雄市民と見なされる?住所をさらしたくない人は、「いいね!」できない?
- 巨大な企業とはいえ、将来的にFacebookが倒産してサービス停止する可能性が無いとはいえない。
- そもそも日本の自治体が、アメリカの私企業が運営するサービスの配下にコンテンツをおいちゃっていいのか?
- CMSでかなりの必須項目とされる「記事の承認フロー」とか、どうするんでしょうね?
- 8月1日から完全移行するにあたりあと2日しか無いのに、2011年7月30日1:00a.m.時点で「いいね!」している人が2,417人しかいない。武雄市の人口50,000人に対して5%程度で、市民に周知されているのかどうか気になる。
- 当然ながら、独自ドメインは使えない。
地方自治体のWebサイトをFacebookページにすることのメリット(私見)
- 先進的な市長と市政に注目度が高まりそう。
- サーバへの設備投資費が節減できそう(記事によると既存のページデータも残すそうなので、サーバを完全に解約することはなさそうですが。メールサーバも残すでしょうし)。
- CMSのライセンス費、開発費や運用維持費のコスト等、既存のWebサービスを使う分、節減できそう。
- スマフォや携帯にもそれなりに対応してくれているし。
- 現状の仕様では、Facebookアカウントが無い人でもページを閲覧できるので、そこは問題ない。
- SNSならではの情報の伝播力に期待が持てそう。
- グループやイベント機能を使って、市のコミュニティを活性化できそう。
どうでしょう? 私の個人的な見解では、ちょっとデメリットのほうが強いかな?という気もしますし、見落とした点が色々ありそうですが、良かったらコメントくださいませ。