子供のときに胸がきゅんとしたファンタジー
火曜/金曜担当の@cremaです。
今日は、なにかと気ぜわしいシーズン中の、ちょっとした現実逃避話を。
子供のときに胸がきゅんとしたファンタジー
私の場合、大人になってからの読書は、どうしてもHTMLやCSS関連、デザイン関連、ビジネス関連の書籍が中心になっています。もちろんそれらの本は刺激的で役に立ち、自分の勉強になるものなのですが、そればかりだとちょっと心の潤いが足りなくなることも...。
そこで今日は、子供時代の甘酸っぱい気分を思い出させてくれるファンタジックな作品を、すこしご紹介してみることにします。
第3位:クシー君の夜の散歩
稲垣足穂の「一千一秒物語」がお好きな方ならきっとお気に召す、小粋でスタイリッシュな砂糖菓子のような漫画です。作者は、精緻な絵柄の鴨沢祐仁さん。
主人公のクシー君は、いつもジャケットとタイと半ズボンを着用。姿は子供のくせにシガーやマティーニを嗜み(!)、時にはうさぎのレプス君をつれて夜の街を散歩し、土星の輪を落としてしまったり、スクーターで疾走したり。
少年時代の夢がお洒落な大人の文化と融合して結晶したような、ロマンティックな世界設定は、厳しい現実世界から逃避する(苦笑)のにぴったりです。
河出書房新社
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その他の画像が引用しにくいので、Google画像検索してみました。
第2位:アタゴオル物語(と一連のシリーズ)
映画「銀河鉄道の夜」の原作でも有名な、主人公を猫の姿で描く(事が多い)ますむらひろしさんの作品です。
アタゴオルは、いま私たちの住んでいる世界とは別の場所にある空想世界。猫と人間が対等に言葉を交わし、美しくて便利な植物がにょきにょき生えている不思議な国です。(初期の作品では、自動販売機の裏の隙間にアタゴオルの入り口がある描写があったため、今でも私は自動販売機を見ると、少しドキドキしますw)
ヒデヨシといういたずらで自分勝手なおデブ猫を中心に、銀ハープの名手テンプラ、クールな学者猫パンツ、情熱的なバイオリンをひく床屋さんの唐あげ丸など、一人ひとり個性的なキャラクターが動きまわります。
詳細をWikipediaにまとめてくださっている人がいるので、リンクしておきますね。→アタゴオル
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最高の世界
第1位:星の牧場
初めて読んで以来何年経っても忘れられない作品の第一位は、庄野英二さんの小説「星の牧場」です。
戦争で記憶喪失になってしまったモミイチという主人公が、山の奥にあるジプシーの村に迷い込みます。ジプシーたちは知性にあふれ、みんなで楽器を演奏してオーケストラを結成していています。
「にじのミネラル」という炭酸のような飲み物を作って飲んでいるのですが、それがとても美味しそうな印象なのと、もうひとつ、お蚕さんのマユを乾燥させた山にもぐりこんでお昼寝することを「まゆつくり」と呼んでいるのが、すごく気持ちよさそうで...。
長新太さんの挿絵もやわらかくほっこりしていて、開く度にジプシーの世界に誘われます。
子供のときは、結末がほろ苦いところが納得いかなかったのですが、大人になると、この結末の方がいいなと思うようになりました。
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まとめ
三作品に共通するのは、「どこかここではない場所」への強いあこがれですね。ただその世界を妄想するだけではなく、言葉と絵で構築していく作者の方々には、深い尊敬の念を覚えます。そのおかげで、私のような読者は、少し疲れたとき心を休める事ができているのです。感謝!(ちょっと自分でも描いてみたいなぁと思う気持ちはあるのですが)
と、ここまで書いていたら、ぽっぺん先生シリーズとか、みどりの川のぎんしょきしょき
とか、東君平さんの童話とか、昔好きだったものがどーっと蘇ってきました。
そうか。今度お休みが取れたら、図書館の児童書コーナーに行ってみようと思います。