「私的勉強会 解析しないと」に参加してきました。
火曜/金曜担当の@cremaです。
今日は、アクセス解析の第一人者@ankこと安西敬介(あんざいけいすけ)さんの「私的勉強会 解析しないと」に参加してきたレポートです。
この勉強会は、道玄坂をずんずん上がっていった渋谷区神泉にあるECナビさんのお洒落すぎる社内バー「AJITO」にて、行われました。
冷蔵庫から自由に無料でビールを頂いていいという素晴らしすぎる環境のため、全景写真を撮影し忘れたわたくし。そのかっこいい内装は、このあたりの記事をご参照ください!w(その1,その2,その3)
と、会場の素晴らしさを理解していただいたところで、本題。(相当ざっくりですので、間違いや補足事項などありましたら、お知らせください!)
今日お話されたのは、安西敬介(@ank)さんと、同じオムニチュアにお勤めの森田恭平(@KyoheiPJ)さんのお二人です。
KPIについて
まずは@ankさんのお話からスタート。
「What is KPI」と題して、KPI(key performance indicator)のお話をメインに例やクイズを交えながらの展開となりました。以下、箇条書きメモ。
- KPI(key performance indicator)というのは、サイトを目標に近づけるために定点観測する指標のこと
- サイト内の変化や課題をつかんだり、キャンペーンなどの施策の実行を確認するために観測する
- KPIは指標であっても指標は必ずしもKPIではない(Dennis R Mortensen)
- ゴールをブレイク・ダウンしながら導き出していく
- Key Business Requirementで、小さなアクション(マイクロコンバージョン?)を設定していく
- Business Goal←KBR←KPIという図
- KBRの設定はサイト戦略の鏡
- ここでお題その1→広告バナー収入がメインのメディアサイト/FAQ中心のカスタマーサポートサイト/いわゆるひとつのSNSサイト、のKBRは何か。
- まずは、何がゴールか考える。
- メディアサイトのKBR 1)広告クリック数の向上 2)訪問者数の向上 3)回遊率の向上。
- サポートサイトのKBR 1)FAQページへの到達(満足度向上) 2)ネット利用率(オフラインとの比較) 3)ゼロ検索数の低下(満足度向上/検索結果がなかった場合がどのくらいあるのか→検索結果ゼロのキーワードを減らしていく)
- SNSサイトのKBR 1)新規利用者数の向上(裾野を広げる/インビテーション数の把握) 2)ログイン回数向上(一人当たりの利用頻度) 3)コミュニケーションの活性(Engagement/5回以上ログインしている人の割合を調べたりする)
- サイトの課題は何か。サイトを大きく「流入」「内部」に分解。
- 「流入」は、検索エンジン(自然/有料)、サイト(広告出稿/他サイト/Mail,RSS[Webブラウザで閲覧するタイプ])、リファラなし(Mail,RSS[ローカルで動作するタイプ]/URL直接/ブックマーク)に分かれる。
- どこからきてどこに行くのか?これを意識しながら、そのギャップを見つける。
- @ankさんは、当然サイトカタリストLOVEw
と、あんまりスライドを書き写したメモばっかり読んでもつかれるので、あとはこんな感じというイメージで。お題は、こんなふうに出題されました。
これに対して、ankさんからの解答例はこんな感じ。
解答例が出されるまで自分で考える時間が与えられ、まるで大学の試験のような気分になりましたw
一番印象的だったのが、次の問題です。
Q4:2010年1月に実施予定のキャンペーンがある。下記が手元にある情報だが、この情報を使った場合、どのくらいの予算にすればよいだろうか?
- 対象サイト:コマースサイト
- キャンペーンでの目標売上:100万円
- サイト平均単価:1000円
- サイト全体CVR:2%
- 広告からのクリック単価:10円
- ※キャンペーンサイトの制作費は計算に入れない
予測の例
1.必要コンバージョン数の算出
必要な売上額÷平均単価=必要コンバージョン数
100万円÷1000円=1000件2.必要誘導数の算出
必要なコンバージョン数÷サイト全体CVR=必要誘導数
1000件÷2%=500003.必要広告予算の算出
必要誘導数×クリック単価=必要広告予算
50000×10円=50万円
当然この問題は必要最小限に簡略化されてはいますが、基本的なロジックの組み立て方がこういうモノかと実例を見せていただき、とても納得できました。
そして全体的に、「サイト(とビジネスの)ゴールは何か?」→「ゴールを達成するにあたって、どの数字を観測していくのか?」→「観測した数字を改善するために何が必要か?」という基本的な考え方の流れをすっきりと見せてくださり、とても分かりやすく、すぐに私の実務に応用できそうなお話でした。
また、「ギャップを見つける」というのが、データを分析していく上での重要なキーワードだと感じました。「訪問者数が多いのにコンバージョン率が低いページ」、逆に「訪問者数は少ないがコンバージョン率の高いページ」など、数値が極端なところを見ていって、そこの改善方法を考えていくイメージでしたが、みなさまどう思われましたでしょうか。
もうひとつ、@ankさんのかつての上司の方が「緻密などんぶり勘定が必要」とおっしゃっていたエピソードが印象的でしたね。
サイトのテストについて
次は、@KyoheiPJさんのお話。
@KyoheiPJさんはオムニチュアでサイトのテストを専門に担当されている方で、分かりやすく実例を交えながらサイトのテストについてお話をしてくださいました。
導入は、「優れたコンテンツ、優れたクリエイティブとはなんでしょう?」という問いから始まり、その答えは、「それは、成果に結びついたクリエイティブ。」というもの。
実際のサイト上で、数種類のクリエイティブやオファー(ユーザーに対する利益)を変えて、どのようなコンテンツが効果的かテストしていきます。
たとえば、とある「赤ちゃんの命名サービス」のクリエイティブで、以下のような四種類のクリエイティブがあったとします。
A:従来のクリエイティブ
B:余計な情報を一切削ぎ落したクリエイティブ
C:名前に関する由来などの情報が掲載されたクリエイティブ
D:人気の名前ランキングが掲載されたクリエイティブ
このうちどれが最もコンバージョン率が高かったかといえば、B。見せる情報を一番省いたシンプルなページでした。
どこをテストすればいいの?改善場所選定のポイントは?というと、サイトのボトルネックになっている部分を解消すること。
ページの訪問数とコンバージョン率を見ていきます。訪問数が多いのにコンバージョン率が低いページはどこか?クリエイティブをどう改善するか?または訪問数が少ないけれどコンバージョン率の高いページのポテンシャルを伸ばす。この導線が一番確実、という王道を整備する。
テスト設計にあたっての5つ基礎的切り口は、
- クリエイティブ(イメージ/色/言い回し/大きさ)
- チャネル(メール/外部キャンペーン)
- オファー(どのようなメリットが有るか?送料無料など)
- タイミング(時期)
- セグメント(20代男性/「健康」というキーワードを検索してきたユーザなど)
というもの。テストの結果にバイアスがかからないように5つの切り口を活用するそうです。
このうち一番重要なのはオファー。ユーザーにどんなメリットを提示出来るか。オファーが良ければ、クリエイティブなど他の要素がひどくてもコンバージョン率が上がるとのこと。(まぁ、それはそうですよね)
「Q:自社サイトの強みを、訪問から10秒以内に理解したユーザの割合は?その強みは強豪より優れていると判断される割合は?(もうひとつあったのを聞き逃しました)」というお話もあり、以下のような実例を見せていただいて納得でした。
これは、実際に自分たちがクリエイティブを作る際に、非常に参考になる考え方ですよね。
そして、「Web業界にまつわる都市伝説の検証」というお話もありましたので、以下メモ。
伝説:ランディングページの最適化のためにはひとつの情報に絞りこむことが大切→同じキーワードで流入したユーザでもニーズはちがったりするので、必ずしもひとつの情報に絞りこむ事がいいとは言えない。
伝説:日本国内でも、地域によってユーザの行動傾向が違う→これは本当。地域属性で異なる結果が出ることがある。季節性のある特集など。(沖縄でまだ暑い秋に鍋物の話を出されても困る、とか)
伝説:ABテストなんてただの小手先→大間違い。戦略が正しくとも見せ方が最適化されているとは限らない。
このようにテストの話をまとめて聴かせていただくチャンスは初めてでしたので、食い入るように見つめてしまいました。どのようなクリエイティブがサイトのゴール達成に貢献していくか、どのようにPDCAサイクルを回していくか、linker内でもしっかり復習して情報共有しておきたいと思います。
そうそう。今日準備されていたハッシュタグは、#ankwa01ですので、ぜひそちらもご参照を。
最後に感謝を
お仕事がお忙しい中、このような素晴らしい講義を用意してくださった@ankさんと@KyoheiPJさん、極楽のような素晴らしい社内バーを使わせてくださったECナビの皆さま、そして懇親会でお話させていただいた皆さま、本当に本当にありがとうございました。
同業他社の皆さんがお集まりなのに、とてもアットホームな雰囲気で、Web業界の横のつながりの素晴らしさを再認識させていただいた夜でした。