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ゲーミフィケーションに関わるいくつかの要素

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こんにちは、taku-workです。
大抵のことは自分でルールを作ってゲームにしてしまえば、苦痛は軽減されるみたいですね。
たとえそれが二日酔いでの炎天下の草むしりでも。

ということで、今回はゲーミフィケーションに関わるいくつかの項目のおはなし。
だいぶ認知されてきたゲーミフィケーションについて更に考えるおともにどうでしょうか。

まずはこちらのプレゼンテーションを御覧ください。

これはSCVNGRのSeth Priebatschによる2010年のTED Bostonでのプレゼンテーションです。
ソーシャルの次にくるゲームレイヤーの4つの要素(7つのうちの)についてのプレゼンテーションです。

Appointment dynaminc (アポイントダイナミクス)

プレーヤーが決まった時間に決まった場所で何かをするということを言っています。
簡単にいえばサービスタイムなど特定の時間に特定の場所に行くことでポイントを受けられるというもの。
具体例として農場系ソーシャルゲームのFarmVilleをあげています。
特定の時間に水やりするためにアクセスする必要があるこのゲームのダイナミクスは生活のリズムを変えるほど強力と紹介しています。

位置系ソーシャルゲームにおけるバッジやポイントなどもこれに当てはまりそうですね。
ゲームのみならず、通販、webサービスの運営などに活かせる要素かと思います。

Influence and status (影響力とステータス )

クレジットカードにおけるブラックカードのステータスやオンラインゲームのレベルによるステータスが持つ影響力についてです。
上位のレベルにはそこまでレベルを上げたいという強い動機づけが生まれます。

大学の成績などもレベルAとかBとかではなくて「白騎士パラディンレベル20」とかすればもっと勉強するのにとも言ってます。
大学の成績に関しては実験的に経験値制度で評価付けを行なっている大学もあるそうです。
成績低下によるモチベーションの低下を回避するという意味もあって面白い試みです。

オンラインゲームだとわかりやすいところではレアアイテム所持などのステータスがありますね。
位置系ソーシャルゲームではメイヤーなどに当たる部分です。
欲しくなりますよね、メイヤーのステータス。

Progression dynamic (進歩ダイナミクス)

linkedinのプロフィールの完成度を例にあげています。
100%完成までの段階と自分の今の状態(たとえば85%など)を示されると100%にしようという欲求がうまれるとのこと。
個人差はあるとはおもいますが、不完全な状態を示されると、確かになんとか完成させたいとは思うところですね。

ロールプレイングゲームなどでは敵との戦闘の後、経験値をもらうわけですが、次のレベルまでの経験値がわかるようになっているものがあります。
あと少しで次のレベルになると思うと、ついつい、もう一回くらい戦闘しておこう、となるわけです。

ポイントとレベルを導入できるウェブサービスなどにはこの要素は有効かもしれません。
たとえば、ある時間にあと5回ある機能を使う(Appointment dynaminc )ことで次のレベル(Influence and status )になって、そうすると新たに使える機能がふえる(Progression dynamic)とかそんな感じでしょうか。

Communal discovery (共同的発見)

何かを達成するためにみんなで一緒に働くというものです。
以前にあったDiggのスコアボードを例にあげてその強力さと危険性をあげています。
数名が結託して自分たちのスコアを熱心に上げるようになるため偏ってしまうという危険性があるとのこと。

他にもFacebookのいいねやtumblrのリブログなど多くの人がリアクションしたものが目につきやすくなる仕組みがありますね。
こういったソーシャルを生かした機能は多くのサービスですでに実装されていたりするわけですが、一歩進めてMMORPGで言うところのパーティーミッションなどを盛り込んでみるのも面白い効果がありそうです。

ということで、

最近あちこちで聞こえてきて、どんどんバズワード化しているゲーミフィケーションですが、狭義な意味ではプレーヤーを熱中させるゲーム的要素をいかに使うかといった類のことのようです。
(広義にはゲーム業界のノウハウ(ゲーム的要素だけに限らず)を他業界にも流用しようといったことだったような)

身の回りには「課題と報酬」だけにかぎらず、多くのゲーム的要素があって、日々それらの中で生活をしています。
目をこらして探してみるのも面白いですし、仕事なども自らルールを作ってゲーム化してみると面白く作業できて良いかと思います。
なぜハマるのか、なぜスムーズにことを進めることができるのかを考えてみることは、ユーザーを飽きさせずに熱中できるサービスづくりには非常に役に立ちそうですね。


"ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足" (深田 浩嗣)


"ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書)" (サイトウ アキヒロ)