linkerは「人と人」「人と情報」「人と物」をつなぐデザインユニットです。

「つたわるフォント」と「ペットボトルキャップ時評」のこと。

火曜/金曜担当の@cremaです。

今日は、フォントとペットボトルのお話しなど。

つたわるフォント

先日、キリンビバレッジの生茶[朝のうるおうブレンド茶]を飲みながらぼーっとボトルを見ていたら、見慣れないマークを発見してしまったのです。

それがこれ。

namacha.jpg

「つたわるフォント」? 家に帰ってすぐ検索してみたら、もうかなり話題になってるんですね。Wikipediaにまで記載されているのに、全然知りませんでした。お恥ずかしい。

このフォントは、「博報堂ユニバーサルデザイン」「株式会社タイプバンク」「慶應義塾大学 中野泰志教授」の三者で共同開発されており、「類似字形の誤認防止による収益損失回避や信頼性、安全の確保」が強みなのだそうです。

モリサワさんからもユニバーサルデザインフォントが出ているのは知っていましたが、色々な会社が同一の目的でこの問題に取り組んでいるんですねぇ。

博報堂ユニバーサルデザインさんのサイトによると、「つたわるフォント」は、こんな点に特徴があるとのこと。紹介されている名刺デザインの例を見ても、可読性が非常に高いフォントであることが分かります。

hud.png

つたわるフォント

生茶はペットボトルそのものも省資源ボトルなどにしてエコロジーに取り組んでいるようですし、色々実験的な商品なんですね。

ペットボトルキャップ時評

で、この「ペットボトル 生茶」の検索結果を色々見ていくと、『キリン生茶』 10周年目の新キャップ: ペットボトルキャップ時評という記事を見つけてしまったんですよね......。

ブログタイトルが「ペットボトルキャップ時評」! 「ペットボトル時評」ですらなく、キャップだけが対象なんですか!? サブタイトルには、「ペットボトルキャップのあらゆるアスペクトに関するクリティカルレビュー」と書かれていて、神々しさを感じます。

なにしろ記事タイトルを拾っていくと、こんな感じなんです。

どの記事を見ても「ペットボトルのキャップ」について、写真なしに文章のみで、極めて学術的な調子で特徴や意義などが詳述されています。ブログの世界って......。本当に奥深いですね......。

そんな驚きのマニアブログには、「つたわるフォント」についてこのように記述されていました。

プレスリリースによれば、今回のラベル表示 (商品説明部分) には、文字識別能と可読性に配慮した 「つたわるフォント」 [注3] が採用されているという。細かい文字なので、さほど実感は湧かない。また、カーニングがいい加減なため、その効果も半減しているように思われる。見やすい文字組みには、フォント設計も大切な要素であるが、その効果はカーニング次第である。欧文フォントが可読性に優れているのは、文字数が少ないため、その点に十分な配慮が行き届くからである。日本語表記のように、漢字、かな、カナ、数字、アルファベット、記号など、あらゆる字種を扱う場合には、まだ無理があるように思える。また、わずか4cm幅に小さなフォントサイズの両端揃えでは、スペーシングにばらつきが生じてしまうため、「つたわるフォント」 の本当の良さは伝わらない。

『キリン生茶』 10周年目の新キャップ

この文章を拝読する限りでは、この方はデザインに 造詣の深い方のようですね。プロフィールページにはそのあたりは明かされていないようですが、どんな方なのか非常に強い興味が湧いてきてしまいました。

こういう面白い出会いや発見があるので、人生って面白いですね。