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「美しき挑発 レンピッカ展」おすすめです。

火曜/金曜担当の@cremaです。

前々回の記事「ゴールデンウィークに行きたい展覧会みっつ」で取り上げた中のひとつ「美しき挑発 レンピッカ展」を見に、ひさかたぶりに渋谷のBunkamuraに行ってまいりました。

bunkamura.png

結論から言うと、非常におすすめなので、東京近郊にお住まいで未見の方は見に行った方がいいですよ! 2010年5月9日(日)が最終日です。とだけ書いてもなんなのでw、私が良いと思ったポイントをを挙げておきますね。

レンピッカとはどんな画家なのか?

フルネームはタマラ・ド・レンピッカ。1898年にポーランドのワルシャワで生まれ、1920年代からパリで活躍した女性画家です。

モデル顔負けの美貌を持ち、毛皮や宝石で着飾った自らのポートレイトをプロカメラマンに撮影させ、最初の夫は美男子の女たらしなポーランド人弁護士、二番目の夫は自分の作品のコレクターである男爵、結婚生活をしながらも美しい女性モデルたちと恋愛する両性愛者......。これだけ取り上げてみても、映画の主人公のような華やかな人生っぷりですよね。

さらに、アール・デコのクールかつ滑らかで官能的な曲線を持った作品そのものも、非常にクオリティが高く眼を惹かれるものばかりです。画像はこのあたりから見てみてくださいね。

モード雑誌の表紙を手がけたり、当時では珍しかった「車を運転する女性」であったり、ファッショナブルで強く自立した女性だったようです。頭にぴったりした縁なし帽やパッツンとしたおかっぱのヘアスタイル、短く首に巻かれたパールのネックレスなどが描かれた作品と写真を見ているうちに、同時代人のゼルダ・フィッツジェラルドなどを何となく思い起こしていた私です。

注目すべき点

展覧会の構成は、修業時代から始まり、最盛期、没落した時期、など時系列にそって展示されています。そのため、ひとりの女性の人生の「輝きと闇」をなぞりながら見ていくことができます。最盛期に美しく輝いて社交界でも花形であったのに、時代の移り変わりとともに見捨てられ、忘れられ、そして、老後にまた見いだされる......。このドラマチックさがたまりません。パリからニューヨークに移り、さらに晩年はメキシコへ移住、という遍歴も、心をそそります。

図録に掲載されている、石岡瑛子さんが晩年のタマラと過ごした5日間の記録も必見です。年老いて異国にあっても、過去のきらめきを忘れずに着飾って毅然と暮らしていたという情景を眼に浮かべると、そこに同席したかった気分になります。

そして、子供時代から母親のモデルを務め、晩年の母の面倒もみて、ずいぶんと振り回されたらしい娘キゼットさんが、どういう人生を送ったのかも、とても気になります。そんなキゼットさんの証言で構成された「タマラ・ド・レンピツカ - 激情のデッサン」という書籍や、先ほどの石岡瑛子さんの「肖像神話 - 迷宮の画家タマラ・ド・レンピッカ (1981年) (PARCO view〈10〉)」という書籍もあるようなので、入手して読んでみようと思っています。

あのマドンナさまもファンだというレンピッカ。強く美しく自立した女性の象徴なのかもしれません。

タマラ・ド・レンピツカ - 激情のデッサン
キゼット ド・レンピツカ・フォックスホール チャールズ フィリップス
リブロポート
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